知識経済(”Knowledge Economy”) へのシフトが叫ばれてから半世紀以上が過ぎようとしています。そのスピードが加速したのが80年代後半から90年代にかけてだったように思います。その間、日本は過去の成功神話にこだわるあまり、教育や雇用制度の改革において、何一つ際立った成果を収めることなく、30年以上が過ぎ去りました。この状況で、日本人が現在に至るまで「批判的思考の訓練」「専門家教育」「成人教育」そして、これらの「教育投資に見合った雇用制度」に、真剣に取り組んでこなかったことが日本経済の未来を危うくしています。この短いエッセイでは、最初に専門家教育と大学の役割についての議論を取り上げます。次に、欧米列強諸国が領地を拡大、植民地を維持してきた「帝国主義」と「グローバル化」には、社会科学も含む近代科学が大きな力を発揮したこと、そしてその力の源泉になったものが、宗教や伝統に縛られない思考を促す「批判的思考」であったことを解説したいと思います。最後に、近年の「知識経済」躍進の原動力となった新しい知的エリートが世界経済を動かしていること、日本人がそれに向き合わない限り、到底「イノベーション」を生み出せないと確信していることについて説明していきます。正式な論文ではないので、議論がまとまっていない箇所もありますが、皆さんが、自分自身の、そして日本の未来を考えるうえで、参考にしていただければ幸いです。
Share this post
知識経済と覇権国家:グローバル経済の原点から考える
Share this post
知識経済(”Knowledge Economy”) へのシフトが叫ばれてから半世紀以上が過ぎようとしています。そのスピードが加速したのが80年代後半から90年代にかけてだったように思います。その間、日本は過去の成功神話にこだわるあまり、教育や雇用制度の改革において、何一つ際立った成果を収めることなく、30年以上が過ぎ去りました。この状況で、日本人が現在に至るまで「批判的思考の訓練」「専門家教育」「成人教育」そして、これらの「教育投資に見合った雇用制度」に、真剣に取り組んでこなかったことが日本経済の未来を危うくしています。この短いエッセイでは、最初に専門家教育と大学の役割についての議論を取り上げます。次に、欧米列強諸国が領地を拡大、植民地を維持してきた「帝国主義」と「グローバル化」には、社会科学も含む近代科学が大きな力を発揮したこと、そしてその力の源泉になったものが、宗教や伝統に縛られない思考を促す「批判的思考」であったことを解説したいと思います。最後に、近年の「知識経済」躍進の原動力となった新しい知的エリートが世界経済を動かしていること、日本人がそれに向き合わない限り、到底「イノベーション」を生み出せないと確信していることについて説明していきます。正式な論文ではないので、議論がまとまっていない箇所もありますが、皆さんが、自分自身の、そして日本の未来を考えるうえで、参考にしていただければ幸いです。