【解説と設問を発表】太平洋に放射性汚染水を放出【Global Newsについて語ろう!】第45回 12/4(土)10時@オンライン
チケット
ワークショップ
ワークショップは2021年4月22日に発表された以下のCNNの動画と書籍の英語記事を利用します。書籍がなくても該当部分の動画と字幕(以下の動画では最初のパート)を参照すれば参加は可能です。
Radioactive Water In The Pacific | April 22, 2021
太平洋に放射性汚染水を放出
ワークショップの詳細は前回のnote記事でご確認ください。
【解説】
3.11の福島原発のメルトダウンから10年以上が過ぎました。しかし、それだけ時間がたっても、いまだ廃炉にかかわる事業は終わりが見えません。このトピックに関しては、9月にもワークショップを開催しました。以下、それに関する記事です。
ワークショップで利用したThe Japan Times紙は汚染水を放出しなければならなくなったのは、貯まり続ける核燃料デブリの置き場所がなくなったからだと報じています。
”Nearly a decade after the three meltdowns at Fukushima No. 1 nuclear power plant, plans are underway to finally remove nuclear fuel debris from the three reactors. But in order to remove it, Tokyo Electric Power Company Holdings Inc. (Tepco), the operator of the plant, needs to ensure there is a place to store the debris once it is retrieved. This is thought to be the reason why the government is rushing to give the green light to releasing tritium-laced water piling up at the plant into the Pacific — to give room for the storage of fuel debris.”
核燃料デブリに関しては以下の記事が参考になります。
廃炉作業で最難関とされる溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しには、今後20~30年を要する見込みだ。放射能汚染水を浄化した処理水の処分も時間がかかり、作業は長丁場となる。
東日本大震災の原発事故以降、多くの日本人は原子力発電の稼働に対して大きなリスクを感じており、原発の稼働率は2011年以前の2割を切っています。
東日本大震災の発生前には54基の原発が稼働し、日本で使う電力の30%前後を原子力発電で賄っていました。しかし、2021年8月時点で地元の同意を得て再稼働した原発は美浜(関西電力)、大飯(関西電力)、高浜(関西電力)、玄海(九州電力)、川内(九州電力)、の5発電所の9基だけで、西日本エリアに集中しています。
COP26を前に、経済産業省は2030年度のエネルギーの電源構成比の目標値を発表しています。世界各国は脱炭素社会に向けた厳しい取り組みを求められているわけですが、私は日本政府が出した目標値に大きな疑問を感じました。2018年の原子力発電による総発電量は電源構成の僅か6%です。しかし経産省は、次のような計画を発表しています。
「2030年度の電源構成は、LNG火力27%程度、石炭火力26%程度、再生可能エネルギー22〜24%程度、 原子力20〜22%程度、石油火力3%程度を目指しています。」
日本のエネルギー政策〜2030年、2050年に向けた方針〜
2030年度の電源構成は、LNG火力27%程度、石炭火力26%程度、再生可能エネルギー22〜24%程度、原子力20〜22%程度、石油火力3%程度を目指しています。
新原発の建設はおろか再起動も難しい状態で、この計画は無謀です。国民の間でこれだけ原子力発電に対する忌避意識が強いにもかかわらず、日本政府と財界は原子力発電の継続を推進しています。これらのエネルギー事情を踏まえて、あなたは今回の汚染水処理に関して、どう考えますか?皆さんの議論に期待します。