【解説と設問を発表】報道の自由と民主主義【Global Newsについて語ろう!】第39回 11/3(祝・水)10時@オンライン
チケット
【ワークショップ】
ワークショップの詳細は前回のnote記事でご確認ください。
ワークショップは2021年10月8日に発表された以下のBBCのデジタル版英語記事を利用します。
The high-profile Philippine and Russian editors face threats and intimidation for doing their jobs.
この記事は日本語に翻訳されています。
ノルウェーのノーベル委員会は8日、2021年のノーベル平和賞を、それぞれの国で表現の自由のため「勇敢に闘った」フィリピンとロシアのジャーナリストに授与すると発表した。
【解説】
今年のノーベル平和賞は政治家の厳しい弾圧に対抗して来た二人の勇気あるジャーナリストに与えられました。今年のノーベル平和賞は「パンドラ文書」を発表した、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ、本部・米首都ワシントン)に与えられるのではないかという下馬評がありました。その予想は外れた訳ですが、近年のポピュリズムの隆盛にはメディアの役割の変化が関係している、という危機感がノーベル賞関係者を始めとする知識人の間で共有されていたのは事実です。また近年、世論の形成には、従来の主流メディアだけではなく、インターネットにより拡散されるSNSのプラットフォームや動画配信なども大きな役割を果たすようになっています。TwitterのbotやFacebookの広告による特定の世論への誘導がトランプ元大統領の当選やブレグジット等への結果に結びついていたことが、近年の調査報道で明らかになっています。日本での同様のケースが疑われたのが、現在疑惑が深まっているDappiというSNSアカウントに対する捜査です。
そして、衆院選が終わってみると、予想外に得票を伸ばしたのが日本維新の会でした。今回の衆院選で改めてオールドメディアであるTVの影響力の強さが浮き彫りになりました。コロナ禍の最中に、大阪府の吉村知事はかなりの頻度でTVに出演していました。関西のローカル放送だけでなく、全国に放映されるゴールデンタイムのTV放送にも出演したことから、プレゼン能力の高い彼は、露出の頻度も相まって、日本維新の会の知名度を全国区にしました。地域政党だった日本維新の会が国会でも勢力拡大したのは、明らかに主流メディアの「功績」です。
今回のケースに限らず、日本のメディアと権力の関係は、かなり前から国内外のジャーナリストや研究者が度々取り上げていました。元共同通信の記者、魚住昭氏が執筆した「官僚とメディア」の癒着を描いた書籍がかつて話題になりましたし、また、ニューヨーク・タイムズ元東京支局長のマーティン・ファクラー氏が3.11の震災後に執筆した『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』も大いに注目を集めました。
ニューヨーク・タイムズ東京支局による3.11事故の報道は、ピュリツァー賞のファイナリストに。日本の新聞に対する皮肉な批判となった。
ファクラー氏の2020年の著書「吠えない犬: 安倍政権7年8カ月とメディア・コントロール」の中で、彼は日本のメディアの役割が更に後退したことに危機感を募らせています。
第二次安倍政権が2012年末に誕生して以降、権力とメディアの関係は大きく変わった。権力がメディアに露骨な態度をとるようになった理由は何か。権力を監視するはずのメディアが、その役割を放棄しているかのように見えるのはなぜか。
これらの帰結として、日本の報道の自由度が年々下がり続けていることに対して我々は注意を払う必要があると思います。2021年に問題になった「権力とメディア」の関係をあなたはどう思いますか?このワークショップの設問はサロン会員、記事購入者、ワークショップ参加者に送付します。