【解説と設問を発表】岸田新総裁と自民党の政権運営【Global Newsについて語ろう!】第37回 10/16(土)10時@オンライン
チケット
【ワークショップ】
ワークショップの詳細は前回のnote記事をご確認ください。
ワークショップは2021年9月29日に発表された以下のThe Guardianのデジタル版英語記事を利用します。
自民党総裁選を無事勝ち抜き、9月末に退任した菅前総理に代わり、第100代日本国首相に岸田氏が就任しました。新たに内閣人事も決まりましたが、その顔触れから、ほとんど前政権と変わらないのでは、という批判もあるようです。その結果は岸田内閣に対する支持率や調査結果からも読み取れます。
【NHK】NHKの世論調査によりますと、先週発足した岸田内閣を「支持する」と答えた人は49%、「支持しない」と答えた人は24%でし…
特に気になるのが以下の調査項目です。
「岸田内閣が、安倍内閣や菅内閣の政策や路線を引き継ぐほうがよいと思うか聞きました。
「引き継ぐほうがよい」が8%、「どちらかといえば引き継ぐほうがよい」が26%、「どちらかといえば引き継がないほうがよい」が32%、「引き継がないほうがよい」が25%でした。」
今や8年以上にも及んだ「安倍・菅内閣」の負の遺産は明らかです。安倍政権時代に拡大した経済格差解消を訴えている岸田総理ですが、新しい政策を実行すべき閣僚メンバーの顔触れが旧態依然だったことに、多くの国民は不満を感じているようです。The Guardian紙のJustin McCurry 記者も記事の中で次のように言及しています。
Former foreign minister to become PM following face off against vaccination minister Taro Kono
”During his leadership campaign, Kishida pointed to the failure of Abe’s signature “Abenomics” mix of expansionary fiscal and monetary policies and growth strategy to benefit households, but has so far offered few specifics on his own vision for the economy.”
新しいリーダーが誕生した当初は、通常支持率が高めであること、そして、日本でコロナ禍が一段落していることから、岸田総理は早い時期の衆議院選挙を決めたようです。しかし、ESGなどを含んだ「新しい資本主義」に対応した具体的な政策の全容は見えません。目につくのは安部前総理を中心とする自民党右派の岸田政権への影響力の強さです。確かに昨年の総裁選で岸田総理は菅前総理に完敗だったのに、今年は圧勝ともいえる強さだった訳ですから、自民党総裁選自体が「出来レース」だったのでは、という疑惑を持つ人は少なくないようです。
この事情は海外の報道でも指摘されています。
”But analysts said Kishida, aware of Abe’s ability to mobilise votes in his favour in the second round of voting in the party contest, had drifted to the right during the campaign, suggesting that little would change on economic and foreign policy.”
そして、何よりも問題なのは、今後の日本のソフトパワー、経済発展・技術開発につながるような教育予算、研究への支援がほとんど見られないことです。日本学術会議の任命拒否問題にみられる「学問の自由」「言論の自由」に対する抑圧も、岸田総理は「再考する予定はない」と冷淡です。
菅義偉首相が日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否した問題の発覚から1年となる1日、「安全保障関連法に反対する学者の会」(発起人代...
くわえて、OECDの調査では日本は他の先進国に比べて、職場でICT利用の進展が遅く、また、学校教育におけるICT活用に関しても、多くの教師が危機感を抱いていることがよくわかります。
「職場におけるデジタルリスク、ICT 集約度に関しては、日本のパフォーマンスはOECD平均またはそれ以下となっている。また、日本では教室で ICT を利用している教師はほとんどおらず、教育に ICT を活用するための訓練がもっと必要であると述べた教師の割合は 80%」
岸田政権の下、コロナからの復興を目指した新たな経済対策は組まれているようですが、長期的なビジョンなしに日本経済が今後成長軌道に乗るような兆しは見えません。
【NHK】新型コロナウイルス対策をめぐり、岸田総理大臣は8日の閣議で、人流抑制の影響を受けた人たちへの経済支援を実施する必要がある…
発足した岸田政権の経済政策には「分配による格差是正」などの「新しい資本主義」という看板が掲げられています。宏池会「創業者」の池田勇人が1960年に掲げた「所得倍増」という言葉も使われています。
上記の記事以外でも、岸田総理に関するNew StatesmanのPodcastが興味深かったので、関心のある方は聴いてみてください。
衆議院選挙は今月末に予定されています。あなたは次期政権に何を期待しますか。ぜひ、一緒に話し合ってみましょう。設問はサロン会員、ワークショップ参加者、記事購入者に送付します。