【解説と設問を発表】国際報道で理解する「菅首相退陣」【Global Newsについて語ろう!】第33回 9/18(土)10時@オンライン
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このワークショップの詳細は前回のnote記事でご確認ください。
【note】国際報道で理解する「菅首相退陣」【Global Newsについて語ろう!】第33回 9/18(土)10時@オンライン
今回のワークショップは2021年9月3日に発表された以下のThe Guardian紙のデジタル版英語記事を利用します。
菅首相が次期総裁選に出馬しないと発表してから、10日余り。メディアやSNSで誰が次の総裁になるのかで盛り上がっています。一方、この1年の菅政権、もっと言えばその前の長期政権だった「安倍総理」の8年間も十分に検証されないまま、選挙、新内閣の発足という事態になりそうです。そんな中、NHKが今回で最後であろう菅内額に関する世論調査を実施しました。現在の菅内額の支持率は低調ながら、意外にもこの1年間の彼の政策を評価する声が過半数を超えていました。
【NHK】NHKの世論調査によりますと菅内閣を「支持する」と答えた人は、先月より1ポイント上がって30%、「支持しない」と答えた人…
一方、評価が芳しくなかったのが、コロナ対策で、なかでもワクチン接種のスピードが遅いと答えた回答が63%と高い数字でした。「実務に長けている」という前評判のあった菅首相でしたから、未曾有の危機とはいえ、退陣は仕方なかったように思います。また、コロナ対応だけでなく、いわゆるメデイァや国民との対話において、菅総理の手法は批判を浴びてきました。彼が官房長官時代から、度々、記者会見で鋭い質問を浴びせてきた望月衣塑子記者は菅首相の政治姿勢について以下の記事の中で興味深い分析をしています。
まさに、逃げるような退任劇だった。菅義偉首相の自民党総裁選不出馬が報じられた3日、13時からの囲み取材では「総裁選よりもコロナ対策に専念する」とだけ...
望月記者の菅総理の評価はかなり辛辣で、先日読んだ「暴君:シェイクスピアの政治学」に出てくる登場人物を彷彿とさせるような内容でした。
「どんな状況でも、人事権を行使して、なりふり構わずに自分の権力を最大限に見せるよう執着している姿は、いかにも菅さんらしいと感じていました.……菅さんは権力を維持するために人事を操り、頂点まで上り詰めた人です。でも、その権力が無力化すると、予想以上に弱かった。権力に酔っていた政治家が、最後は権力に負けたということだと思います。裏で参謀として権力を振るうことにはたけていても、日本をどうしたいのかという国家観を語れず、コロナ禍で浮き彫りになったのは、ワクチン一本打法で、市民の命を犠牲にし、五輪利権に血眼になっている菅さんの姿でした。」
以下、「暴君:シェイクスピアの政治学」の本の書評です。
そして、菅総理の退陣のニュースはすっかり過去のものとなり、自民党総裁選に国民の目を向けさせるのが、いつもながらの自民党の戦略だ、とガーディアン紙に記事を寄稿した研究者達は言います。
彼らは「次の選挙で自民党は多少の議席を失うかもしれないが、それも予想の範囲内だ。なぜなら、トランプ大統領のようなポピュリストが日本で政権を取るのは難しい代わりに、日本の有権者の多くは選挙で政治は変えられないと思っており、投票所にさえ行かないからだ」と述べています。そして、なぜ日本の政治がそのような状態になったのか、その歴史的経緯を説明しています。
"The LDP has ruled almost uninterrupted since its founding in 1955, but this “democracy without competition” was not a foregone conclusion. In fact, the immediate postwar years saw mass, sometimes violent protests against US military bases, and in 1947 there was even a socialist prime minister. However, in 1960 the leader of the Socialist party was assassinated, and the LDP rammed an alliance treaty with the US through Japan’s parliament, the Diet, locking out protesting MPs in the process. "
しかし、著者たちは自民党政権があまりにも長く続いたため、それ自体が日本の民主主義の制度となってしまい、「変えられない政治」になってしまったことことが日本の将来のリスクだと記事の最後で結んでいます。
“After so many years of LDP rule, it’s not only the democratic system, but the very future of Japan, that is at stake. It seems unlikely that whoever wins the LDP leadership race, and becomes prime minister, will meet these challenges.”
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