性的マイノリティと生殖に関する権利【Global Newsについて語ろう!】第32回 9/11(土)10時@オンライン
【ワークショップ】
ワークショップは昨年末に発表された以下の共同通信の英語記事を利用します。この記事は「The Japan Times ニュースで深堀り英語vol.3」の90頁に日本語訳とともに転載されています。
Japan's unmarried, sexual minorities forced to use foreign sperm banks
「結婚と出産はセット」と日本の一般的な道徳では考えられており、法律もそれに沿った制度設計がされています。その典型的な事例が婚外子に対する相続差別でした。2013年9月に最高裁で違憲判決が出て、同年12月に民法が改正されるまで、非嫡出子(婚外子)の相続の権利は嫡出子の2分の1だったのです。
【法務省:民法改正】平成25年12月5日,民法の一部を改正する法律が成立し,嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になりました(同月11日公布・施行)
「法定相続分を定めた民法の規定のうち嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1と定めた部分(900条4号ただし書前半部分)を削除し,嫡出子と嫡出でない子の相続分を同等にしました」
そのような背景のもと、日本では原則として医師が有償の精子提供に協力することは禁じられており、また2020年に法律が制定されるまで、提供された卵子や精子を使って子をもうけた夫婦が法律上の両親と認められないケースがありました。また、現在でも「パートナーシップ制度」を設けて、同性婚にも法律婚に近い権利を与えようと努力している自治体もありますが、国レベルでは日本で同性婚はいまだ認められていません。
そもそも「生殖の権利」自体も、国際条約上では確認されていても、世界で十分に守られているのかは甚だ疑問です。
"At the 1994 International Conference on Population and Development in Cairo, governments explicitly acknowledged, for the first time, that reproductive rights are grounded in already existing human rights obligations."
Repro Rights Are Human Right
つい、先日も米国テキサス州で、妊娠6週以降の中絶を禁止する法が施行されたばかりです。
「テキサス州では母親の命に危険がある場合を除いて、胎児の心拍が確認されてからの人工妊娠中絶を禁止する、州の法律が成立。対象となるのは通常、妊娠6週目頃、妊娠に気付く前である場合も多いとされます」
【NHK】アメリカ南部テキサス州では、胎児の心拍が確認されてからの人工妊娠中絶を禁止する法律をめぐって、医師らが差し止めを求めてい…
LGBTQの人々の生殖の権利に関しては、まだまだ議論や調査研究が不十分であり、以下の研究機関がそれに関する論考を発表しています。
もちろん生殖だけでなく、LGBTQの家族の子供の福祉に関する研究も進められる必要があります。夫婦別姓さえもまだ認められていないわが国ですが、近年注目を集めているLGBTQの人権と生殖に関する権利について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
このワークショップに関する設問は、後に発表する有料記事の購入者、オンラインサロン会員、ワークショップ参加者に送付します。