アフガニスタンと9.11: 米国の対テロ戦争の20年【Global Newsについて語ろう!】第34回 9/25(土)10時@オンライン
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【ワークショップ】
ワークショップは2021年8月26日に発表された以下のAFP通信社のデジタル版英語記事を利用します。
この記事は日本語に翻訳されて発表されいます。
【9月9日 AFP】米同時多発攻撃が起きた2001年、当時のジョージ・W・ブッシュ(George W Bush)米大統領は「テロとの戦い」を宣言した。
今年は2001年9月11日に発生したNYの世界貿易センタービル及びアメリカ国防総省の本庁舎ペンタゴンへの同時テロ攻撃から20周年でした。同じく今年8月末を持って、米国はアフガニスタンからの撤退を決めました。しかし、撤退直前に米国が駆逐したはずのタリバンがアフガニスタン全土を掌握し、8月の終わりには米軍がなんとか管理できていたのはカブール空港だけという事態になっていました。そのため、米軍と協力関係にあった日本も含む同盟国の大使館職員、復興に携わったNGO関係者、アフガン人の通訳など、多くの人々が現地に取り残され、自力で決死の脱出を試みなければ、生命の危険に晒されるという状況になってしまいました。米国や日本側の同盟国に協力したアフガン人の多くは、いまだ自国にとどまらざるを得ない状況が続いています。
何が問題だったのでしょうか。AFPの記事にある以下の言葉が問題の本質を的確に表しています。
「恐らく、最大の問題は軍事的なものではない」と指摘。イスラム武装勢力が人を集めるのを防ぐ上で最も有効な手段の一つは、武装勢力に参加するよりも良い選択肢を与えることであり、「それは武力では不可能だ」と述べた。
しかし、当時の米国政府や社会がとった態度は攻撃に対する凄まじい怒りと報復への決意でした。9.11で米国の自由経済、資本主義、文化を象徴するニューヨークの世界貿易センタービルが崩壊し、世界最強であるはずの米軍本部があるペンタゴンがいともたやすくテロの攻撃のターゲットになったのです。以下のAP通信の記事は当時の米国内の雰囲気をよく伝えていると思います。
"In the United States, the Sept. 11 attacks set loose a torrent of rage. In shock from the assault, a swath of American society embraced the us vs. them binary outlook articulated by Bush — “Either you are with us, or you are with the terrorists” — and has never let go of it."
9.11が起こった2001年かその翌年の始めだったと思いますが、クリントン政権の報道官だったジェームズ・ルービン氏がロンドンの大学で講演をしました。私もその講演会に出席したのですが、彼は「真珠湾攻撃以来、米国の本土が初めて攻撃された。しかも米国の文化の象徴である自由の女神があるNYをだ」と述べ、言葉の端々から「報復は当然だ」という態度を顕わにしました。会場が彼の怒りの強さにシーンとなったことを覚えています。民主党のルービン氏が、まるで共和党の重鎮のような好戦的な態度を示したことに英国人を始め多くの出席者が驚いたと思います。
9.11の後、ブッシュ大統領は米国でのテロを主導した国際テロ組織「アルカイーダ」のリーダー、オサマ・ビン・ラディンを匿っていたとされるアフガニスタンでの軍事作戦を指示しました。オバマ大統領の時代に、ビン・ラディンは米軍の攻撃で命を落とし、アルカイダは崩壊します。しかし、9.11の後、ブッシュ政権時に始まった米国のイラク、リビアへの軍事攻撃、そしてインターネットの発達により、テロは無くなるどころか、様々なテロ組織とそれを支えるイデオロギーが世界に拡散することになります。その最大のものがISでした。
そして、9.11の後は欧州各地の大都市でも無差別テロ攻撃が頻発しました。私も2005年のロンドン地下鉄同時多発テロを経験しましたが、その首謀者4人のうち3人はパキスタンからの移民2世の英国人で、1人はジャマイカ生まれの英国への移民でした。彼らは英国北部に居住していた、いわゆる「homegrown terrorists」で全員自爆テロで死亡しているため、彼らがどのような経緯でテロリストになったのか、真相の全容は解明されていません。
以下は米国政府によって捕らえられたテロリスト容疑者を収監していたグアンタナモ収容所に関するNHKの取材記事です。
【NHK】世界に衝撃を与えたアメリカ同時多発テロ事件から20年。アメリカは安全になったのか。
インタビューを受けた人物は以下のように語ったそうです。
「最悪中の最悪のテロリストとアメリカ政府が呼んだ人々が拘束されてきたグアンタナモ収容所。そこで14年間にわたって捕らえられていた人物が語った言葉だ。」
「アメリカが安全になったとは思わない」
20年にも及んだ米国の「対テロ戦争」は何だったのか、いまアフガニスタンで起こっていることは今後の世界情勢にどのような影響をもたらすのか、一緒に考えていきたいと思います。
このワークショップに関する設問は、後に発表する有料記事の購入者、オンラインサロン会員、ワークショップ参加者に送付します。