「橋田壽賀子のラストメッセージ〜“おしん”の時代と日本人」を見て
「橋田壽賀子さんの代表作「おしん」。内容が暗いと反対されても橋田さんがこだわったのは「おしん」が生きた時代をリアルに描くことだった。農村の貧困の実態、戦争責任を感じる庶民の苦悩、高度経済成長期の商売拡大路線とその危うさ…。」
このドラマをこういう辛口の視点で見たことが無かったのでハッとさせられました。橋田さんが、意図せず戦争に協力してしまった一般庶民の「戦争責任」を問うため、主人公おしんの息子は戦死、夫は自殺してしまう、という朝ドラにはふさわしくないドラマ設定にした、ということを初めて番組内で知りました。
1983(昭和58)年4月、テレビドラマの金字塔ともいうべきドラマが始まる。連続テレビ小説『おしん』である。
戦後、おしんが立ち上げたスーパー(ヤオハンがモデルと言われている)は息子により拡大路線を続けますが、「弱肉強食」が正義と信じていた彼の会社は、さらに巨大なスーパーの進出により経営危機に陥ります。この設定は後にヤオハン・ダイエーが破綻したことにより現実のものとなったのです。
「おしん」は1983年放送のドラマですが、この時期に新自由主義的経済モデルの問題点をドラマの中に持ち込んでいた橋田さんは実に鋭い観察眼の持ち主だったのですね。その後に日本がバブル経済に向かい、破綻したことを考えると感慨深いと思いました。
以下は英語での報道と映画・TVドラマ専門サイトのレビューです。
Oshin (1983– ) User Reviews
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このNHKの番組は5月20日(木)午前0:00(5/19水曜日深夜)にEテレで再放送も予定されているので、もう一度ゆっくり見てみたいと思います。